2023.04.14 (Fri)
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近年、今まで以上に「サステナビリティ」に対する意識は加速しています。ホテルやオフィスの内装などを手がける大阪の企業「J.フロント建装」では、工場で出る「捨てるしかない端材」の使い道を今一度見直しています。本記事では、作品づくりの情熱に溢れた地元の大学生と合致したニーズから生まれた新しいプロジェクトについてご紹介します。
大量生産・大量消費が当たり前だった時代を経て、現在は、環境への配慮と限りある資源の有効活用、地産地消、そして良いものを長く大切に使う生活スタイルが再評価されています。
ホテルやオフィスの内装などを手がける企業「J.フロント建装」もまた、サステナブル経営を根幹として、社会課題の解決に取り組んでいます。
今回ご紹介する「大阪芸術大学×J.フロント建装サステナブルプロジェクト」は、同社が家具を製作する過程で、どうしても出てしまう端材を、何かの形で有効活用できないかとの思いから立ち上がりました。
パートナーとして白羽の矢が立ったのは、同社社長の母校でもある大阪芸術大学の学生たち。豊かな想像力と柔軟なデザイン力を活かせば、捨てられてしまうはずの端材に新たな命を吹き込むことができるのではないか。誰も見たことのない新しい”何か”を製作してくれるのではないか。大いなる期待を込めて、情熱ある学生たちと共に、このプロジェクトが本格始動していったのです。
プロジェクトでは、「オブジェ」「家具」などカテゴリを定めず、あくまで学生の自由な発想に委ねた作品を募集することに。そこには、大阪芸術大学のどの学部の学生からも興味を持ってもらいたい、エントリーしてもらいたい、という狙いもありました。
説明会を経て、参加表明してくれた学生たちとは、教授を介さず直接やりとりをしました。
「こんな端材はありませんか?と相談すると、J.フロント建装の社員さんが直接、台車に乗せて届けてくれることもありました。」(学生コメント)
作品づくりが滞らないよう、学生とのコミュニケーションを積極的に取りながら、端材が必要との声があれば、柔軟に応えていきました。
主な端材は木材ですが、それ以外にもさまざまな素材を活用しました。
「木の切れ端を中心に、リフェクスミラーの切れ端、使えなくなったフィルムなど、端材という不揃いな面白さと向き合いながらの製作は、普段の作品づくりとは違う面白さや発見があり新鮮でした。」(学生コメント)
応募総数は29点。実に魅力ある作品が集まりました。
自由な発想、コンセプトでとにかく楽しく真剣に制作してくれたことがわかる作品群。学生たちのものづくりに対する熱意を感じ、J.フロント建装の社員も、強く心を打たれました。
1つ1つの作品を見ると、学生たちがそれぞれの想いで、作品づくりに真剣に取り組んでくれたことがわかります。
「溢れすぎた思いに制作が追い付かず、冷静な設計により構造上の強度を確実なものにする前に重力との闘いになってしまいました。」(出村谷さん)
「360度、どこから見ても楽しむことができるようにイラストの構成を考えました。」(川村さん)
「さまざまな場所で使えるように、座り心地はもちろんのこと、どんな場所でも座面の角度を同一に感じていただけることを意識しました。」(山内さん)
「形状の都合で機械が使えなかったので、手でヤスリをあてざるを得なかったのは大変でしたね。手触りが良くなるまでに時間がかかりました。」(西さん)
「駒を丁度良い厚さにするために2枚を重ねたこと、また駒の大きさとオセロ盤一マスの大きさが同じだと駒が動かしづらく他の駒とぶつかってしまうため、駒の大きさとオセロ盤の一マスの大きさの関係性に注意しました。」(福澤さん)
作品づくりの情熱に溢れた、企業と地元の大学生のつながり。同じ想い、同じ大阪ローカルだからこそ連携して生み出すことのできた未来のためのプロジェクトは、これからも続いていきます。
今回の展示企画「端材に命をふきこむ」は、大阪心斎橋店にて、2023年4月15日(土)→28日(金)の期間で開催します。期間中は、応募作品の全てを展示予定です。
端材から生まれた魅力ある学生たちの作品を、ぜひご覧ください。