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九州の知られざる魅力を発掘!「九州探検隊」の文字通り“探検”の日々

九州の知られざる魅力を発掘!「九州探検隊」の文字通り“探検”の日々

福岡県福岡市

2022.09.27 (Tue)

目次

2018年6月、株式会社 博多大丸の創業65周年プロジェクトとして誕生した「九州探検隊」。九州全域の知られざるヒト・モノ・コトを発掘し、百貨店ならではの様々な手段を活用してお客様にご紹介するというこの企画、実は一般的な物産展とは一線を画する、ちょっと目新しい取り組みです。南のグルメハンターとして活動する探検隊員“やのちゃん”こと矢野貴士に、「九州探検隊」について聞きました。

九州探検隊とは、沖縄県を含む九州の119市を実際に訪れ、行政と協力しながら魅力的な生産者や商品を発掘するプロジェクトです。物販やプロモーションのみならず、各地や特産品の魅力を伝える企画や商品開発を通して、地元に恩返しをするというものです。その最前線で活動するのが、矢野貴士こと南のグルメハンター・やのちゃんです。入社以来、食品部門ひと筋で23年。九州一円に加え、全国の美味しいものを探して飛び回っています。

発見の宝庫! 九州の知られざる美味しさ

食に対して常にアンテナを張っているやのちゃんによると、九州は感動的な出会いの宝庫なのだそう。“探検”により集めた、一般的な物産展ではまずお目にかかれないような事業者や食材、生鮮食品をご紹介する「九州深発見」という全館プロモーション施策を行っていて、好評をいただいています。

「マルシェ形式で出展していただくのですが、生産者が数人しかいない『茶ぶり』という養殖のブリを丼で販売しました。このブリには鹿児島のイベントで出会ったのですが、エサにお茶を混ぜて育てているんです。これが本当に美味しい! 物産展では持ち帰りのほかイートインコーナーを設置し、お客様にも大いに感動していただきました。」(矢野)

知られざる味覚との出会いは、催事ならでは。企画性を織り交ぜることも少なくないといいます。

「昨年『熱いぜ宮崎展』というイベントを行ったのですが、餃子をメインにして、たくさんの方に楽しんでいただきました。宮崎県は餃子日本一の消費量だってご存じでしたか? 日本一を競っているとは知らなかったのです。この秋の第2回が楽しみです。」(矢野)

小さなお店もしっかり紹介するための、多彩な仕掛け

一般的な物産展では、日程や出店規模の兼ね合いで、商品ラインアップやスタッフの数に余裕がある事業者の参加が目立ちますが、「九州探検隊」が関わる催事には大小様々な事業者が集い、目新しく感じることでしょう。これも仕掛けのひとつです。

「小さなお店などは自治体ごとのコーナーやパサージュ広場で売ってもらったり、出店日数を限定できるようにしたりして、出展のハードルを下げています。また物産展のみならず、ふるさと納税やオンラインショップ、外商などの方法を駆使して、幅広くスポットを当てる工夫もしています。」(矢野)

百貨店が持つ多彩なリソースを活用することも「九州探検隊」の特徴のひとつ。たとえばこんな先進的な取り組みも。

「クラウドファンディング『Makuake』を活用した試みも始めています。鹿児島の赤鶏を使った低温調理の新商品を開発したり、クラウドファンディングで売り出した商品をお中元でも販売したりという、新たな試みを行なっています。」(矢野)

またふるさと納税の試みも進めています。商品開発のみならず、お客様へ提供する手段を確保できることが、百貨店の強みだと胸を張ります。

「地元の大丸だから力を貸してくれる事業者もいらっしゃいます。思いもよらなかったヒト・モノ・コトを紹介できるきっかけになることも『九州探検隊』の醍醐味。苦労もありますが、地元の知る人ぞ知るお店や味を発掘してご提供できることが、一番の喜びですね。」(矢野)

その数7割強! 九州〜沖縄全自治体とアンバサダー契約を締結

「九州探検隊」の成果は、各地の事業者のみならず、自治体との連携にもかかっています。一連の取り組みは各県で反響を呼び、119市のうち7割強の自治体との契約にこぎ着けました。

「すでに、九州にある91の自治体をアンバサダー認定しています。コロナ禍を経て、『売り方がわからない』『売るものがない』という自治体の声がさらに聞こえるようになりました。そんななかで、百貨店のリソースをたっぷり活用しながら販路を拡大できる点で、お役に立てると考えています。」(矢野)

たとえば宮崎県都城市とは強いパートナーシップ協定を結び、市の看板事業創出を手伝う取り組みも進めています。

グルメハンターによる次の一手と、目指すところ

南のグルメハンターやのちゃんには、「九州探検隊」の取り組みをさらに進めて、全国規模にしていきたいという夢があります。

「九州のものを九州で売る難しさは感じていますが、手応えはあります。これをひとつの“型”として、全国の大丸に広げていきたいですね。また各自治体もアンバサダー認定をして終わりではなく、継続的に商品を展開するなどして、より深い関係性を築いていきたい考えです。」(矢野)

加えて、グルメハンターとしてのスキルを磨きたいとも語ります。

「ありがたいことに、地元のメディアに南のグルメハンターとして出演する機会も増えています。大丸・松坂屋には、北海道駐在の専任バイヤー“北のグルメハンター”こと、本田大助がおりますので、コラボもしてみたい。次の世代に知識を引き継ぎながら、定年までグルメハンターとして活躍したいですね。」(矢野)

もともと、「九州探検隊」は社員の発案からスタートしました。キャッチコピーは、「見たことのない九州を見つけよう」。慣れ親しんだ地元であっても、新たな発見や感動があるはずです。「もっと九州を元気にしたい」と考える地元スタッフの熱意に支えられて、九州の探検はまだまだ続きます。