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【心斎橋店300周年プロジェクト①】大阪とともに歩んだ時間、大丸心斎橋店が紡ぐ300年の物語

【心斎橋店300周年プロジェクト①】大阪とともに歩んだ時間、大丸心斎橋店が紡ぐ300年の物語

大阪府大阪市

    2026.09.16 (Wed)

    目次

      1726(享保11)年の開業以来、大阪の街とともに歩み続けてきた大丸心斎橋店。数え切れないほどのお客様に支えられてきた感謝の思いを胸に、開業300周年を迎えた2026年3月から11月までの期間、記念イベントの開催を含む一大プロジェクトを推進中です。このプロジェクトに携わる二人の担当者に、300周年記念事業の概要とともに、大丸300周年の記念事業にかける想いについて語ってもらいました。

      大丸と大阪の親密な関係は“外商”から始まった

      大丸のルーツは1717(享保2)年、下村彦右衛門正啓が京都・伏見の地で開いた大文字屋に遡ります。それから9年後の1726(享保11)年、大阪(江戸時代の表記は「大坂」)・心斎橋筋の一角で、間口一間(約1.82m)の小さな呉服屋・松屋がのれんを掲げました。これが、現在の大丸心斎橋店の始まりです。

      当時の大阪は、日本全国から物資が集まり、「天下の台所」と称される経済の中心地でした。松屋が店を構えた心斎橋筋からも近い道頓堀には芝居小屋が立ち並び、多くの商人が行き交っていたといいます。記録によると松屋の商人は、芝居小屋の芸人や船場の旦那衆のもとへ足しげく通ったのだとか。

      「お客様を店で待つのではなく、こちらから出向いて商いをする。それが松屋(大丸)のスタイルでした。そうしたアクションを通じて、お客様との親密な関係性を築いていったのでしょう。現在の百貨店では当たり前になっている、外商にもつながるやり方ですね」と語るのは、今回のプロジェクトに携わる大丸心斎橋店営業推進部の藤田幸久です。

      大丸心斎橋店営業推進部 藤田幸久

      「その後、松屋から大丸へと屋号が変わり、1837(天保8)年に起きた大塩平八郎の乱では、多くの豪商が焼き討ちに合う中、大塩が部下に『大丸は義商なり、犯すなかれ』と命じたことで、打ち壊しを免れたと伝わっています。このことからも、大丸と当時の大阪の人々との間柄をうかがうことができるのではないでしょうか。」(藤田)

      そんな大丸と大阪の人々との親密な関係は、近代に入っても続きます。1918(大正7)年には、名建築家として知られるウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計による建物が完成。一度は焼け落ちるものの、1933(昭和8)年に再びヴォーリズ建築が蘇り、地域のランドマークとして親しまれました。

      それから86年後の2019年に建て替えが行われた際も、旧本館で使われた装飾を生かすことで、当時の面影を伝えることを重視。ここにも、大阪の街や人とのかかわりを大切にする大丸心斎橋店の姿勢を感じていただけるのではないでしょうか。

      全従業員が一丸となり取り組んだ300周年プロジェクト

      大丸心斎橋店の300周年を祝う記念プロジェクトは、長期にわたるアイデアミーティングから始まりました。

      大丸心斎橋店営業推進部 八十島和樹

      「心斎橋店には、親子三代で通ってくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。時代ごとに姿を変えながら、この大阪で長く商いを続けられていることに対する感謝を、300年という節目の年にお伝えしたかったんです。」(八十島)

      そう語るのは、営業推進部の八十島和樹です。外商の経験を経てプロジェクトメンバーに加わった彼は、プロジェクトの始まりを次のように振り返ります。

      「まず店長がメンバーに伝えたのは『君たちだけでやるのではない』ということ。そこで従業員一同や取引先の方々も参加できるものにしていくため、全従業員を対象とするアイデアミーティングを企画しました。」(八十島)

      半年以上にわたったアイデアミーティングでは、心斎橋店や心斎橋エリアの魅力、現場で感じる課題などを、グループディスカッション形式で話し合いました。その結果生まれたのが「ずっと、あきない。」というキャッチフレーズ。大阪の街、そしてお客様に支えられ300周年を迎えることができた感謝の思いを胸に、これからも永続的に商いを続けていきたい。そんな全従業員の覚悟が込められているといいます。

      このキャッチフレーズとともに、300周年のシンボルとして起用されたのが、マンガ家・手塚治虫の代表作の一つ『火の鳥』に登場する、永遠の命を象徴するキャラクター“火の鳥”です。心斎橋店のエントランスを飾るクジャクのレリーフが、もともと不死鳥のデザインになる予定だったことにちなみ実現したコラボレーションでした。火の鳥のヴィジュアルをキャッチフレーズとともに使った新聞広告は高く評価され、第74回朝日広告賞のデジタル連携の部にて、準朝日広告賞を受賞。記念ロゴや特別ムービーも展開し、300周年を華やかに彩りました。

      第74回朝日広告賞授賞式の模様。

      4つのテーマで表現する“300年の感謝”

      「今回のプロジェクトでは、ネットショッピングやAIにはない温もり、手触り感、体感を重視しました」と語る藤田。その思いをふまえ、9カ月にわたり実施される300周年プロジェクトでは、4つのテーマを軸にさまざまなイベントが企画されました。

      スタートを飾ったのは2026年3月6日から4月1日までの期間、「歴史」をテーマに行われた、大丸心斎橋店の歩みを紐解く展示企画「ひとます博物館 〜ここにしかない百貨の軌跡〜」です。

      「イベントを企画するにあたり、創業家である旧下村邸『大丸ヴィラ』を訪ね、特別に蔵を開けさせてもらったのですが、蔵に眠っていた江戸期ののれんや看板の格調の高さに身が震える感動をおぼえました。博物館にありがちなガラスケースでの展示ではなく、手に触れられる距離感で見ていただくことで、お客様にもこの感動を味わっていただきたい。そう思い実現させたのが『ひとます博物館』なんです。」(藤田)

      「ひとます博物館」では、あたかも江戸時代の心斎橋店に迷い込んだかのような没入感を得られる展示手法を採用。館内各所に設けられたブースではのれんのほか、当時の店の様子を描いた浮世絵や、明治期のノベルティとして配布されたすごろく、そして大正から昭和にかけてのポスターといった貴重な品の数々が展示されました。

      「ひとます博物館 〜ここにしかない百貨の軌跡〜」に展示された、江戸時代に使用された水引のれん。

      続く6月には、「街と連携したアートの展開」をテーマに「ひとます美術館 ―未来へはばたくフェニックスの饗宴―」を開催しました。300年の歴史のなかで、二度の焼失を経験しながらも復活してきた大丸心斎橋店を不死鳥になぞらえ、ゆかりのあるアーティストの方々に作品の制作を依頼。次の100年も大きく羽ばたくことができるようにとの願いを込めたアートの数々が展示されたほか、ライブペインティングやオリジナルデザインのステッカーを配るといった企画も好評を得ました。

      そして9月4日から10月1日までの期間は「大阪町人文化の継承」をテーマに、大阪発祥の伝統芸能である「文楽(人形浄瑠璃)」とファッションを融合させた「文楽ひとます座 ~大阪の地が生んだ伝統と革新の出会い~」を開催。多様な展示のほか、グルメ企画も実施されるこのイベントには、大丸が重要な柱に掲げる「地域共栄」の精神が色濃く反映されていると八十島は話します。

      「ファッションや食、伝統芸能など、大阪にはさまざまなジャンルで頑張る人たちがいます。先人たちが地域に根ざした商いをしてきたように、私たちも地域の皆さんと関わりを深めながら大阪の魅力づくりに貢献したい。そんな想いで企画を練り上げました。」(八十島)

      なお、300周年プロジェクトがフィナーレを迎える11月には、「非日常体験」をテーマとするイベントの開催が予定されています。11月1日の開業記念日に向け、ひとりでも多くの方に楽しんでいただけるよう、地域への感謝の気持ちを伝える企画が着々と進行中です。

      【動画】文楽ひとます座 ~大阪の地が生んだ伝統と革新の出会い~https://youtu.be/EyI6a87Vz08

      地域の人々の声を聞き、街との距離を縮める

      冒頭でも紹介したように、大丸心斎橋店の全従業員がアイデアを出し合い企画された今回の300周年プロジェクト。しかし藤田によれば、プロジェクトの実現は、地域の方々の協力なくしては実現できなかったといいます。

      「大阪の街へ頻繁に足を運び、地域の方々から困りごとや将来の展望を聞きました。その中には、大丸OB、OGの方々もいらっしゃいました。皆さんから『大丸だったらこれくらいのことは出来るはず』と叱咤激励していただいたことは、特に印象に残っています。大きな期待を背負っていることを実感し、身が引き締まる思いでした。」(藤田)

      一方、八十島は300周年プロジェクトをきっかけに、従業員の意識が高まったほか、取引先との絆も深まったと感じています。

      「プロジェクトのときは300周年を祝うお揃いの印半纏を着用するほか、特別に仕立てたのれんを毎朝掲揚するようにしています。こうした目に見える取り組みにより、従業員はもちろん店舗を訪れる取引先の方々の間にも、300周年を祝うムードが醸成されたと思います。のれんはお店を代表するもの。従業員自身が主体的に関わることで、誇りを持って働く意識を持ってくれたことは、今回のプロジェクトの大きな成果といえるでしょう。」(八十島)

      日々のおもてなしを大切に。開業300周年から次の100年へ向けて

      大丸心斎橋店の開業300周年を記念し実施されている今回のプロジェクト。しかし、「ずっと、あきない。」というキャチフレーズにも象徴されるとおり、プロジェクトメンバーは“300周年のその先”を見据えています。

      「街のトレンドを把握しお客様のお困りごとの解決を喜びとする。芝居小屋の芸人や船場の旦那衆のもとへ足しげく通った江戸の昔から現在まで、大丸の商いに対する基本姿勢に変わりはありません。基本に忠実に、心斎橋店らしい商いを実直に続けていく。その積み重ねが、次の100年につながると信じています」と八十島。その言葉を受け、藤田も今回のプロジェクトにかける熱い思いを語りました。

      「まずは、今回のプロジェクトを通じ、300周年を皆さんと一緒に祝いたいというのが率直な気持ちです。そうした祝い事を通じて大丸の魅力を伝え、ひとりでも多くの方に次の100年を支える大切なお客様になっていただきたい。それが、私たち全大丸従業員の願いです。」(藤田)

      今回の300周年プロジェクトを通じ、全従業員があらためて心に刻んだのは、「ずっと、あきない。」を続けていく、おもてなしの心。大阪の街、そして人々に支えられながら、大丸心斎橋店の“あきない”は、これからも続いていきます。

      心斎橋店300周年特設サイトhttps://www.daimaru.co.jp/shinsaibashi/300th/