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【心斎橋店300周年プロジェクト②】大丸心斎橋店が目指す“地域共栄”の形、絆を次の100年へ

【心斎橋店300周年プロジェクト②】大丸心斎橋店が目指す“地域共栄”の形、絆を次の100年へ

大阪府大阪市

    2026.09.16 (Wed)

    目次

      間口一間の小さな呉服屋から、その歴史が始まった大丸心斎橋店。大阪の街や人々とともに歩みを続け、お陰様で2026年に開業300周年を迎えることができました。3月から11月まで、9カ月にわたり展開されている記念プロジェクトは、今まで支えてくれた、この街への感謝を形にしたもの。4つのテーマに分かれたイベントに共通するのは“地域共栄”の願いです。このプロジェクトに携わる二人の担当者に、大丸心斎橋店が目指す“地域共栄”について語ってもらいました。

      街と文化をつなぐ300周年プロジェクト

      今回の300周年プロジェクトは「歴史」「街と連携したアートの展開」「伝統文化の継承」「非日常体験」という4つのテーマを表現するイベント群を中心に構成されています。例えば3月に開催された「ひとます博物館 〜ここにしかない百貨の軌跡〜」は「歴史」がテーマ。江戸時代の心斎橋店に掲げられていたのれんなど、貴重な展示物を通じて、大丸心斎橋店と大阪の街との親密な関係性が伝わるイベントが展開されました。

      「立案当初から、300周年プロジェクトを単なるプロモーションの“お祭り”にする考えはありませんでした」と語るのは、このプロジェクトに携わる大丸心斎橋店営業推進部の藤田幸久。大阪の街や人々に支えられ歩んだ300年の歴史をふまえ、百貨店を地域活性のセンターとして役立てていただく“地域共栄”という考えが、300周年プロジェクトの根底にあるのだといいます。

      大丸心斎橋店営業推進部の藤田幸久(写真左)と八十島和樹(写真右)。

      「“地域共栄”と言葉にするのは簡単ですが、プロジェクトを通じて大阪の街や人々にどのような貢献ができるのか、その答えにたどり着くまでには、大変な試行錯誤を繰り返しました」と、当時を振り返るのは同じく営業推進部の八十島和樹。全従業員を対象とするアイデアミーティングを半年にわたり行う一方で、行政機関や近隣の自治会などを何度も訪問し、この街に暮らす人々のリアルな声を集めたといいます。

      その成果を象徴するイベントの一つとして、二人が例に挙げたのは「大阪町人文化の継承」をテーマに、2026年9月4日から10月1日までの期間に開催する「文楽ひとます座 ~大阪の地が生んだ伝統と革新の出会い~」です。

      大阪の伝統文化×大阪ファッション

      「大丸心斎橋店が呉服店としての歩みをはじめた江戸時代中期、心斎橋筋に近い道頓堀では竹本義太夫が『竹本座』を旗揚げし、人形浄瑠璃の興行を始めました。その後『文楽』とも呼ばれ、今では日本が世界に誇る伝統芸能となっている人形浄瑠璃は、大丸心斎橋店300年の歴史を共有する存在ともいえます。

      一方、百貨店もゆかりが深いカルチャーといえるのがファッション。コシノ三姉妹をはじめ、優れたデザイナーを輩出している大阪は、他の地域にはない個性豊かなファッションを生み出す力を持つ街でもあります。大阪で誕生した伝統芸能の文楽(人情浄瑠璃)と、現代のファッション。まったく異なるように思える二つの存在を、百貨店という場を介し掛け合わせることで互いの魅力を引き出し、大阪の街が持つ可能性を発信できるのではないかと考えました。」(藤田)

      この言葉からもわかるように、この企画はかなり“攻めた”ものでした。特に、伝統芸能の世界は厳格というイメージがあるため、実現に向けた交渉の困難が予想されましたが、「それだけに、先様から『面白そうやね』という快諾の言葉をいただいた際にはホッとすると同時に、驚きもありました。」と当時を振り返る八十島。一方、ファッションの世界を志す学生とのつながりも、意外なところにありました。

      「ファッション界の主要なコンクールでグランプリを獲得しているほか、パリコレクションに出展する卒業生もいるなど、国内屈指の実力校であるヴォートレイル ファッションアカデミー(大阪文化服装学院)とは、産学連携プロジェクトと通じたお付き合いがあったんです。そこで同校に話を持ち掛けると、こちらも即座にご快諾を得ることができました。」(藤田)

      こうして、文楽とヴォートレイル ファッションアカデミーとのコラボレーションが実現。同校の学生たちが国立文楽劇場で人形浄瑠璃の公演を鑑賞し、その世界観や衣裳について学びながら制作を進めました。

      「文楽の衣裳は人形が纏うものですから、洋服制作のノウハウとは大きく異なる点も多々あったと聞いています。それだけに、ヴォートレイル ファッションアカデミーの学生たちが、文楽の衣装や世界観から何を学び、それをどのようにファッションへと昇華されるのか、とても楽しみにしています。」(八十島)

      イベントでは展示エリアごとにテーマを設け、学生たちのデザインによる、伝統と革新を表現したオリジナル衣裳の文楽人形が展示されるそうです。

      「これまで文楽を観たことがない若い世代にも、その魅力が伝わるような展示を目指しています。大丸心斎橋店が300年間の歴史を通じて築いた大阪の街との絆を、新旧2つのカルチャーをつなぐきっかけとすることができたのは、本当にうれしいことだと思っています」という藤田の言葉にも“地域共栄”への意気込みが感じられます。

      大阪発のブランド芋を全館で応援

      今回の300周年プロジェクトは、主軸となる4つの大きなイベント以外にも、さまざまな企画が実施されています。

      その中でも“地域共栄”をビビットに感じることができるのが、ご当地ブランドのさつまいも「夢シルク」が主役となる「OIMOSANフェスタ」(2026年9月16日から10月13日まで開催)でしょう。会期中はレストラン及び食品フロア、POPUPを含む22店舗が期間限定のコラボメニューを展開。スイーツやランチメニューなど、バラエティ豊かな「芋づくし」をお楽しみいただけます。

      「OIMOSANフェスタ」告知ビジュアル

      8代将軍・徳川吉宗が救荒食として栽培を推奨し、江戸時代中期以降に普及したとされるサツマイモ。普及の歴史という観点では、吉宗の時代にのれんを掲げた大丸心斎橋店とも縁のある食材といえます。一方、大阪といえば『食い倒れ』という言葉に象徴されるとおり、古くから食を楽しむ文化のある街でもあります。

      「そんなつながりを背景に、近年注目を集める、濃厚な甘味と絹のような滑らかな口当たりが特徴となる大阪産の『夢シルク』を用いたイベントを企画しました。栽培を手がけるオオサカポテトは『大阪をさつまいもの産地へ』という目標を掲げ、大阪の新たな特産品づくりに挑むユニークな企業。私たちが考える“地域共栄”にも通じることから、コラボレーションを持ちかけたんです。オオサカポテトにとって、これだけの規模のコラボレーションは初めてのことだったそうですが、大きな挑戦と捉えてご快諾いただきました。」(藤田)

      八十島の知る限りでは、全館を挙げて一つのブランド食材に注力するのは、大丸心斎橋店の長い歴史の中でも初めてのことだったといいます。

      「それだけに、テナント店様の協力は必須。企画を進めるにあたっては、私たちが一方的に食材を押し付けるのではなく、夢シルクの美味しさや魅力を理解してもらうことを第一に、営業スタッフが主旨を丁寧に伝えるようにしました。その結果、各店舗様に素晴らしいメニューを考案していただくことができました。」(八十島)

      ちなみに会期中は、大丸心斎橋店本館前の御堂筋歩道でも「御堂筋チャレンジ2026 オイモサンマルシェ on 御堂筋」が開催され、夢シルクを使用したメニューが並ぶそう。秋の味覚が、大阪の新たな名物になる日も遠くないかもしれません。

      大阪の新たな魅力づくりに貢献

      今回紹介した二つの事例以外に、いくつもの企画が動いている今回のプロジェクト。300周年という節目を機に改めて地域とのつながりについて考えることができたと、二人はこれまでの成果を振り返ります。

      「大阪の文化を担う方々をコーディネートし、新たなつながりを作れたのは大きな収穫でした。例えば伝統を大切にする立場と、革新を目指す立場では、お互いの想いは同じでもやり方は全く違う。そのすり合わせは大変でしたが、やりがいもありました。たくさんの人が関わるだけに、百貨店の調整力が問われる企画だったと思います。社会の変化に伴って、百貨店と街の人とのつながり方も変化しつつありますが、今回の企画の企画を通じて得られた新しい絆を大切に、大阪の街や人々と手を取り合い、次の100年に向け歩みを進めていきたいですね。」(八十島)

      「華やかな一度きりのイベントではなく、コツコツと良い企画を積み重ねていくことが大切なのだ、今回のプロジェクトを通じ再認識しました。大丸心斎橋店で過ごされたお客様が、その日の夜に『いい日だったな』と思い出してくださるような、温かみのあるおもてなしを理想にこれからも、『また行こう』と思える大丸でいるために、力を尽くすつもりです。その取り組みが、私たちの目指す“地域共栄”への貢献につながると信じています。」(藤田)

      300周年の感謝を胸に、“地域共栄”を目指しこれからも。次の100年に向け、大丸心斎橋店の歩みが力強く始まろうとしています。

      心斎橋店300周年特設サイトhttps://www.daimaru.co.jp/shinsaibashi/300th/