PROJECT
上野の日常に小さなきっかけを。松坂屋上野店「上野で、ちょっといいこと。〜人と街、そして未来へつなぐ〜」

上野の日常に小さなきっかけを。松坂屋上野店「上野で、ちょっといいこと。〜人と街、そして未来へつなぐ〜」

東京都台東区

    2026.10.06 (Tue)

    目次

      近隣のお客さまから「松坂屋さん」と呼ばれ、上野の人々の日常に寄り添ってきた松坂屋上野店。そんな街との関係をあらためて見つめ、これまで続けてきた取り組みを、改めて「知る」「参加する」「応援する」きっかけとしてひらいていくプロジェクトが始まります。地域の作り手や老舗との取り組みから、その背景にある思いをたどりました。

      「松坂屋さん」は上野の日常

      「週に何度も足を運ぶお客様が多く、日常に溶け込んだお店だと感じました。」

      そう話すのは、松坂屋上野店の販売促進担当マネージャー・國行浩右。2009年に入社し、松坂屋銀座店(現・GINZA SIX)を経て、2013年から上野店に勤務しています。現在は店全体のプロモーションを担当する國行が、上野店に来てまず感じたのが、「百貨店と街、そしてお客様との距離の近さ」でした。

      松坂屋上野店の販促促進担当マネージャー・國行浩右。

      「銀座店には、銀座という街そのものを目的にして、外からお買い物に来られる方や旅行客、一見さんも多くいらっしゃいました。一方、上野店は近隣に住む顔なじみのお客様から『松坂屋さん』と呼ばれるほど距離が近く、徒歩や自転車で週に何度も立ち寄ってくださる方も少なくありません。日用品や洋服など、何か足りないものがあったら『松坂屋さんへ行こう』と思っていただける。この街の人々にとって上野店は“非日常ではなく日常のお店”なんだなと感じました。」

      その実感は日々、店頭でお客様と何気なく交わす会話からもたらされるといいます。

      「母娘で父親へのプレゼントを選びに来たお客様と話していたとき、お母様から『私も小さい頃から松坂屋さんへ来ていて、昔は屋上遊園地で遊んでいたんです』と言われたことがありました。そんな話を何度も聞くにつれ、親子で長くご利用いただいているお客様が本当に多いんだな、と実感します。ここがどんな店かと聞かれたら、やはり“地域の方々に支えられている店”と答えると思いますね。」

      何か特別な日だけに訪れる場所ではなく、上野で暮らす人たちの日常にある「松坂屋さん」。そうした街との関係をあらためて見つめ直すことが、今回のプロジェクトにつながっていきました。

      続けてきた“ちょっといいこと”を、街にひらく

      2026年3月から店舗全体の販促を担当することになった國行は、自分の役割を考えるなかで、上野店がこれまで続けてきた取り組みを振り返ったといいます。大丸松坂屋百貨店では、「Think」の名のもと、環境について考える「GREEN」、街や人とのつながりを育む「LOCAL」、誰もが自分らしくいられる毎日を目指す「SMILE」という3つの切り口で、各店が活動しています。

      「上野店でもこれまで、家計応援計画とフードロス削減を目指す『食品もったいないセール』をはじめ、さまざまな取り組みを続けてきました。あらためて振り返ると、それらも当社の『Think』につながる活動だったんです。ただ、その意味をお客様に十分にお伝えできていなかった。そこで今回は、これまでやってきた“ちょっといいこと”の数々を見つめ直し、改めてお客様へ伝えたいと感じています。」

      そこで松坂屋上野店は、10月7日から20日まで、「上野で、ちょっといいこと。〜人と街、そして未来へつなぐ〜」プロジェクトを開催。ウェブサイトと店頭で、「Think GREEN」「Think LOCAL」「Think SMILE」にまつわる企画を紹介します。

      「お客様にこうした取り組みをまずは知っていただき、参加し、応援していただくことにつなげたい。その思いから『上野で、ちょっといいこと。〜人と街、そして未来へつなぐ〜』というタイトルにしました。」

      地域のものづくりを伝える役割

      3つの切り口のうち、上野店では「LOCAL」の視点から続けてきたのが、地域のものづくりを紹介する取り組みです。近隣の老舗<うさぎや>のどら焼きの販売や、革製品を手がけるファクトリーとのポップアップも、その一例です。

      「上野には上野恩賜公園や博物館、アメ横もあり観光地でもありますから、地方からのお客様もいらっしゃいます。そういう方にとっては、ワンストップで上野の有名店のどら焼きを買えるという利点になる。また上野は“ものづくりの街”でもあります。上野店の近隣には、革小物屋さんやファクトリーがあり、職人による実演を店頭で紹介したときにも、地元のお客様から『こんな工房が近くにあったなんて知らなかった』という声をいただいたんです。ものを販売するだけでなく、その背景にある地域のものづくりも伝えていく。そこがうちの役割であり、お客様からも期待されていると感じます。」

      CASE 01|一枚の暖簾から、地域の作り手とつながる

      「きっかけは、松坂屋上野店の暖簾を新しく作るということでした」と語るのは、VMD担当の加藤千佳。加藤が考えたのは、ただ業者に発注するのではなく、上野で商いをする店として、地域の作り手と一緒にものをつくれないかということでした。

      「せっかくものづくりの街・台東区で商売をしているので、地域の職人さんや伝統工芸に関わる方と何かできないかなと思ったんです。しかし、地域の工房を探して何十社にも声をかける中で、廃業していたり、販売地と製造地が異なったりと、手仕事によるものづくりが受け継がれていない現実を肌で感じました。そんな中で出会ったのが、上野・蔵前エリアを拠点に草木染めや藍染めを手がけるMAITOさんです。」(加藤)

      加藤の記憶に残っていたのが、台東区で開催されるイベント「モノマチ」で体験した、MAITOの草木染めでした。

      「MAITOさんは自然の草木を使い、藍染めという手間暇のかかる技法を実践していました。それなら暖簾が古くなっても、何度も染め直したり、修繕したりしながら長く使えて、むしろ味が出る。そんな形で暖簾を育てていくのが上野店らしいと思い、お声がけさせていただきました。」(加藤)

      依頼を受けたMAITOの小室真以人さんは、松坂屋からのオファーに驚きながらも、大きな暖簾を藍染めにすることに面白さを感じたといいます。

      「普段、自転車でこの辺りを走っていて、松坂屋さんの前もよく通っていたので、メールをいただいたときは『えっ、松坂屋さんから?』という感じでした(笑)。そして暖簾の実物を見ても、『相当でかいぞ(笑)』と迷いましたが、あれを藍染めにしたら絶対カッコいいなとも思いましたね。お声がけいただけてよかった。」(小室さん)

      完成した暖簾は、松坂屋上野店の店頭に掲げられています。

      「MAITOさんが手がける草木染めは、この街の雰囲気とも非常にも親和性が高いのではと思ったんです。そんな相談にもMAITOさんはいろいろ乗ってくださったので、今後の可能性も感じました。」(加藤)

      「こうして人と人がつながって、何か一緒につくれるのはいいですよね。松坂屋さんの前に、うちが手がけた藍色の暖簾が掛かると思うとすごく楽しみです。」(小室さん)

      一枚の暖簾をきっかけに生まれた、松坂屋上野店と地域の作り手とのつながり。今回の出会いは、これからの取り組みにも広がっていきそうです。

      【関連記事】変わる街で、変わらずつくる。蔵前とMAITOのものづくりhttps://think-local.dmdepart.jp/story/20261005tokyo2/

      CASE 02|老舗の味を、新しい出会いへつなぐ

      地域で長く商いを続ける店との関係も、日々のふとした出来事から生まれています。ゆしま花月との取り組みのきっかけは、食品WEB・プロモーション担当の鈴木瑛子が、入社1年目にゆしま花月のかりんとうを食べたことでした。

      「実は私、かりんとうがあまり得意ではなかったんです。でも上司が『上野の地域のお菓子を知ろう』と持ってきてくれたゆしま花月さんのかりんとうを食べたら、“私の知っているかりんとうじゃない”と。感動して、『ぜひ一緒にお仕事をしたいです』とお願いしました。当時は入社1年目で、何ができるかというアイデアも全くなかったんですけど(笑)。」(鈴木)

      「熱量は最初からすごく感じました」と、ゆしま花月三代目の溝口智広さん。その思いから生まれたのが、大丸松坂屋のオリジナルキャラクター「さくらパンダ」と、ゆしま花月の代表的な丸缶を組み合わせた限定パッケージでした。

      「僕も、さくらパンダを使って何かやらせてもらえるという発想自体がなかったので、デザインしていてすごく楽しかったです。パンダが好きな人が見ても『かわいい』と思ってもらえて、でも、うちっぽさもひと目で分かるものにしたいなと考えました」(溝口さん)

      販売に合わせて松坂屋上野店がSNSで発信した動画も反響を呼び、パンダやさくらパンダのファンなど、それまでゆしま花月とは接点のなかった人たちにも商品が届きました。

      「販売初日から『さくらパンダの商品はどこで買えるんですか?』と聞いてくださるお客様がいました。パンダファンの方が多くて、2個、3個とまとめて買われる方もいました。」(鈴木)

      溝口さんも、今回の取り組みには互いの思いが重なる部分があったと話します。

      「うちも、もともと“地元で何かをしたい”という気持ちはありました。松坂屋さんも同じ想いを持って提案してくださったので、『ぜひ一緒にやりましょう』というところから始まりました。」(溝口さん)

      百貨店とのコラボレーションをきっかけに、地域で親しまれてきた味が、それまで接点のなかった人たちへも届いていきました。

      「地域の老舗ブランドさんやお店の方々と一緒に、手を取り合ってやっていく。それが、地域とともに発展していくことなんだろうなと思っています。」(國行)

      【関連記事】“変わらぬ味わい”を人から人へ。ゆしま花月がつなぐ湯島という街の記憶https://think-local.dmdepart.jp/story/20261005tokyo1/

      街を知るきっかけを、日常の中に

      地域とのつながりを生むきっかけは、伝統工芸や老舗との取り組みだけではありません。上野の人々にとって親しみ深いパンダもまた、街へと目を向ける入口になっています。

      「今年6月には、松坂屋上野店で「HAPPY PANDAFUL DAYS」を開催しました。写真展や限定商品を展開したところ、近所の方だけでなく、多くのパンダファンにも足を運んでいただき、朝から店頭に行列ができるほどでした。パンダをきっかけに生まれる広がりを、この13年間で何度も見てきました。」

      國行がこうした取り組みを通して目指しているのは、サステナブルな活動に参加するためのハードルを少し下げること。

      「SDGsやサステナブルという言葉自体に、ハードルの高さを感じるお客様もいると思うんです。だから、そのハードルを少し下げて、まずは知っていただく。そこから参加してもらい、応援してもらう。そうして人と街をつなげていきたいんです。“知る”という機会やきっかけをつくることは、私たちの役目なんだろうなと思っています。」

      たまたま立ち寄った売り場で、近所の店や職人を知る。気になった商品やパンダのグッズをきっかけに、いつもとは違う場所に足を運んでみる。そんな日常の中の小さなきっかけが、街を知ることにつながっていきます。

      上野の人々から「松坂屋さん」と呼ばれ、日々の暮らしに寄り添ってきた松坂屋上野店。知ることから、参加すること、応援することへ。「上野で、ちょっといいこと。〜人と街、そして未来へつなぐ〜」は、人と街が出会う小さな入口をつくっていきます。

      松坂屋上野店

      公式ウェブサイトhttps://www.matsuzakaya.co.jp/ueno/